近年、働き方改革が推進されるなかで「テレワーク」を導入する企業も増えており、いまや一つの勤務地に全社員出勤するのが当たり前ではなくなってきました。

テレワークには在宅勤務と、移動中に作業をおこなうモバイルワーク、そしてサテライトオフィスに出勤するタイプの3種類があります。

今回は、このサテライトオフィスを利用した勤務形態にはどのような種類があるのか、またメリット・デメリットについて解説していきます。

サテライトオフィスとは?

サテライトオフィスとは企業の本社や支社以外の、離れた場所に設置された小規模なオフィスのことです。多くの場合、本社や支社と同様に勤務できるよう、通信環境や業務に必要な設備が整っています。

本社を中心にみて衛星(サテライト)のように存在するため、そう名付けられました。日本においては1980年代頃から導入され、近年さらに注目が高まってきています。

サテライトオフィスの市場は拡大傾向

IT専門調査会社IDC Japan 株式会社が2019年6月に発表した「国内サテライトオフィス市場予測」によれば、2018年時点でサテライトオフィスの拠点数は推定887ヶ所。

2019年6月時点の予想では、2018年~2023年のサテライトオフィス拠点数の年平均成長率は10.1%、2023年には拠点数が約1400ヶ所に達するとしています。

しかし、これは2019年時点の数字であるため、2020年中の新型コロナウイルス感染拡大によるテレワークの急速な普及により、予想を上回る可能性も大いにあるでしょう。

サテライトオフィスの種類

サテライトオフィスは「都市型」「郊外型」「地方型」の3種類に分類できます。それぞれの特徴について解説していきます。

都市型サテライトオフィス

アクセスの良好な都市部に設置されたサテライトオフィスのことです。

都市部にあれば、外回り中の営業社員が資料の印刷や報告などをおこないたい場合も、最寄りのサテライトオフィスに立ち寄れば効率よく作業できます。

営業先から移動時間や交通費を掛けて本社に戻る必要がないため、会社側のコストと社員側の負担を減らすことが可能です。

また、本社が地方にある企業が都市部に進出するための足がかりとして、まずサテライトオフィスを設置するという例もあります。

郊外型サテライトオフィス

都市部の周辺、ベッドタウンなどの郊外にあるサテライトオフィスです。

都市部に本社を置く企業が、社員の多く居住する近隣エリアに設置することで、社員の勤務時間の短縮や通勤の負担軽減、介護・育児との両立など、ワークライフバランスを実現できます。

また、災害や交通トラブルなどが発生し、本社・支社まで行くことが困難な状況に陥っても、事業継続、業務遂行に役立てられます。

地方型サテライトオフィス

都市部に本社を置く企業が、地方の遠隔地にオフィスを設置することです。

本社から離れた地方在住の優秀な社員を獲得できるほか、社員側も自然豊かな場所で勤務できるため、生産性の向上、福利厚生の一貫にも活用できます。

また、国や地方自治体が地方創生の目的で積極的に誘致をおこなっていることから、地方にサテライトオフィスを置く企業も増えてきています。

サテライトオフィスのメリット

では、サテライトオフィスを設置するとどのようなメリットがあるのか、具体的に解説していきます。

優秀な人材の確保

先ほども少し触れましたが、郊外や地方にサテライトオフィスを設置すれば、本社・支社から離れた地域に居住する優秀な人材を雇用できるのも強みです。

地方に支社や営業所を1から立ち上げるとなると大きなコストが掛かりますが、サテライトオフィスであれば必要最低限の機能を用意すればよいため、効率的に地方でも人材確保ができます。

育児や介護による離職の防止

高齢化社会となり、家族の介護が必要になった、もしくは育児などのライフイベントが理由で仕事を続けることがむずかしく、退職せざるを得なくなる労働者が増加しています。

しかし、自宅近くにサテライトオフィスがあれば、家族の用事ができてもすぐ帰宅して対応できるなど、より柔軟に働けます。そのため、優秀な人材の離職防止にも繋がることでしょう。

移動時間の削減

社員の自宅近く、もしくは営業先の近くにサテライトオフィスがあれば、移動時間を削減してその分ほかの業務に充てたり、プライベートを充実させたりできます。

とくに自宅から会社の距離が遠い社員や、営業先から毎回帰社していた営業社員などは移動の負担を減らすことができ、その恩恵が大きいことでしょう。

BCP対策

サテライトオフィスは自然災害や火災など、あらゆる緊急事態でもほぼ通常通りに業務を進められるように、もしくは早期復旧できるようにする「BCP(事業継続計画)」対策にも有効です。

たとえば東日本大震災では、首都圏でも交通マヒが発生し、事業の継続に影響をもたらしました。このように、東京や大阪への一極集中は時にリスクとなります。

サテライトオフィスが各地にあれば、リスク分散ができます。

サテライトオフィスのデメリット

つづいて、どのようなデメリットが考えられるのかについても解説いたします。

コミュニケーションの不足

本社や支社にいる社員たちと直接顔を合わせるわけではないため、コミュニケーション不足や、それに伴う認識の相違によるミスといった問題が生じやすいです。

このような事態を防ぐため、定期的にリモート会議を開催したり、チャットやメールを利用したりして業務の進捗、予定など共有できる体制を整えることが重要になります。

セキュリティリスク

たとえば、民間のレンタルオフィスやレンタルスペースをサテライトオフィスとして活用する場合だと、不特定多数の利用者が立ち入るため、端末の盗難などの危険があります。

また、IT機器やインターネット回線なども、本社や支社といったセキュリティレベルにまでは整備できない場合があり、この部分でもリスクが生じます。

マネジメントが難しい

その場に社員がいないとなると上司の目もないため、現在どのような作業をしていて進捗はどうなっているのか、勤務時間中に作業を実施しているのか、などの部分が不透明になります。

そのため、サテライトオフィス利用の際には自己管理の意識を指導し、また勤務時間の管理・業務進捗を共有できる勤怠管理ツール導入などの整備が必要です。

まとめ

サテライトオフィスの利用には、以下のようなメリット・デメリットがあると解説しました。

メリット
  • 優秀な人材の確保
  • 育児や介護による離職の防止
  • 移動時間の削減
  • BCP対策
デメリット
  • コミュニケーションの不足
  • セキュリティリスク
  • マネジメントが難しい

サテライトオフィスの設置には、多くの魅力的なメリットがあります。

どのような方法でデメリットを解消できるか、会社として制度を整えることで、社員・会社双方がwin-winの形でテレワークを実施できるように実践してみてはいかがでしょうか。