テレワークとは、時間と場所を有効に活用できる柔軟な働き方のことです。近年、テレワークという言葉を目にする機会が増えてきているという人も多いことでしょう。

では、テレワークとは具体的にどのような働き方のことをいい、導入するメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。事例とともに解説していきます。

テレワークとは

そもそもテレワークとは

「tele=離れたところで」

「work=働く」

をあわせた造語です。情報通信技術(ICT)を活用し、時間と場所にとらわれず柔軟に働くことをいいます。

たとえば自宅や喫茶店、もしくは電車や飛行機の中など社外の場所から、社内のデータにアクセスして、社内での勤務と同様に仕事をすることです。

雇用形態や勤務する場所によって「在宅勤務」「リモートワーク」などと呼ぶ場合もあり、弊社では【自宅へ出勤】をキーワードに提案しております。

テレワークの分類

テレワークにはさまざまな種類がありますが、大きく2つに分類できます。

雇用型

◇モバイルワーク

ノートパソコンやスマートフォンなどを使い、社外で仕事をする形態です。たとえば営業職などで、外回りの移動中や待ち時間、顧客先などから業務をおこなうことをいいます。

移動時間や空き時間を有効活用し、効率的に業務を進めることができます。

◇施設利用型勤務

勤務先以外、たとえばサテライトオフィスやレンタルオフィスなどの施設で、ノートパソコンやスマートフォンなどを使って仕事をする形態です。

これらの施設が勤務先よりも自宅に近い場所にあれば、通勤時間を短縮して時間を有効に使うことができます。通勤時間の長い従業員に対し、これらの施設利用を認める企業も増えています。

◇在宅勤務

雇用されていながら、自宅で業務をおこなうという勤務形態です。自宅にいながら勤務できるため、育児や介護、または身体的な理由で出社が難しい場合などにも活用されます。

非雇用型(自営型)

◇SOHO

SOHOとはSmall Office Home Officeの略です。個人事業主として、自宅やその他の場所でICTを活用し、勤務する形態をいいます。

◇内職副業型

特定の企業に雇用されず、自宅やその他の場所で内職などの作業をおこなうことです。自宅で作業するケースが多いため、在宅ワークと呼ばれることもあります。

企業がテレワークを導入する目的

そもそもテレワークとは「tele=離れたところで」「work=働く」をあわせた造語です。情報通信技術(ICT)を活用し、時間と場所にとらわれず柔軟に働くことをいいます。

総務省の「通信利用動向調査」によれば、企業のテレワーク導入率は2012年からゆるやかに上昇の傾向にあり、2016年では13.3%、2017年は13.9%という数字になっています。

では、これらの企業がテレワークを導入した目的はなんなのでしょうか。総務省の調査結果をもとに解説します。

在宅勤務のテレワーク導入目的(企業)
出典:総務省「通信利用動向調査

この調査によれば、もっとも多い目的としては「勤務者の移動時間の短縮」、次いで「労働生産性の向上」「勤務者にゆとりと健康的な生活の実現」となっています。

テレワークを導入すれば、自宅から勤務地の距離が遠い人は通勤時間、営業職であれば移動中に仕事ができるので、それだけ時間を有効活用できます。

通勤時間が長く、従業員自身も負担に感じていた場合、自宅で仕事ができればそのストレスが軽減され、睡眠時間も確保できるようになります。それにより業務効率が上がる可能性も大いにあります。

このように、時間を有効活用し生産性を向上するという目的で、テレワークを導入している企業が多いといえるでしょう。

テレワーク導入のメリット

企業がテレワークを導入すると、企業・従業員ともに多くのメリットがあります。具体的にどのようなことかを紹介します。

企業のメリット

まず、企業側には次のようなメリットがあります。

離職率の低下

たとえば子育てや介護が理由で出社しての勤務がむずかしくなったという場合も、自宅勤務ができれば仕事を続けることができるようになります。働きやすさを感じることで、仕事をやめにくくなるという効果もあるでしょう。

災害時のリスク分散

1ヶ所のオフィスにすべての業務機能と従業員が集中することは、災害時など緊急時にリスクとなります。このような緊急事態でも業務を継続させるのに有効な手段です。

事業運営コストの削減

自宅勤務などを認めることによって、社員が全員出社する必要がなくなれば、それだけ大きなオフィスを用意して莫大な電気代などのコストを掛ける必要もなくなります。

生産性の向上

前述のように、テレワークは通勤時間や移動時間などを有効活用して業務を進めることが可能です。これにより業務効率と生産性が向上します。

企業ブランド・企業イメージの向上

テレワークを導入している企業であるということで、「柔軟な働き方を認めている企業」として認識され、企業ブランドやイメージが向上する効果も得られます。

従業員のメリット

つづいて、従業員側のメリットです。

通勤時間の削減

テレワークによって自宅勤務や近隣のサテライトオフィスなどでの勤務が認められれば、通勤時間というものが存在しない、もしくは大幅に削減できます。とくに勤務地が遠い従業員にとっては大きなメリットといえるでしょう。

仕事と子育て・介護との両立

まだ子どもが小さく、面倒を見ながらも働きたいという方や、要介護者と同居していて目を離せないが働きたい、という方にとっては最適な働き方といえるでしょう。

住む場所の選択肢が増える

出社することを考えると、引っ越すとしても通勤可能な範囲に限定されてしまいます。しかし、テレワークが認められていれば、出社の都合を考えず、好きな街の好きな場所に居住することができます。

業務に集中しやすい

自分にとって働きやすい環境で働くことができるので、集中力も高まることでしょう。とくに通勤時間が掛かっていたという従業員はそれだけ睡眠時間も確保できるので、効率も上がります。

テレワーク導入のデメリット

テレワークを導入することで生じるデメリットもあります。

企業のデメリット

企業側には、つぎのようなデメリットがあります。

セキュリティリスクが高まる

従業員が自宅やその他の場所で作業することで、業務に使われるパソコンやスマートフォンがしっかりセキュリティ対策されているのか、管理できなくなるリスクがあります。また、外出時に置き忘れるという可能性もあります。

労務管理が難しくなる

テレワークをおこなう従業員をその場で監視することはできません。そのため、いつ業務をしているのか、そのオン・オフが見分けられない点もデメリットといえます。

人事制度の整備が必要

テレワークの従業員がいつ業務をおこなっているか確認がむずかしい分、勤務時間をベースとした人事評価が困難になります。そのため、仕事の成果をベースに評価をおこなうような転換が必要です。

従業員のデメリット

従業員側には、つぎのようなデメリットがあります。

コミュニケーション不足になりやすい

メールやチャットを使えば従業員同士のやり取りができますが、すべての事柄をもれなく伝達することはむずかしいです。また、孤立を感じる場合もあります。定期的にWeb会議などをおこなうことで解消できることでしょう。

自己管理の重要性が増す

自宅での業務は時間や行動の自由度が増すため、その分「この期日までにこのタスクを完了する」などの予定を立て、自分を律して達成する能力がこれまで以上に求められます。自己管理ができないと破たんしかねません。

テレワークを導入した企業の事例

実際にテレワークを導入した企業はどのようにおこない、またその結果はどうなったのか、その事例を3つご紹介します。

サイボウズ株式会社

グループウェアの開発・販売などをおこなうサイボウズ株式会社の事例は、以下のようになっています。

テレワークの概要と特徴

  • 全社全職種の全社員を対象として実施
  • 社内ルールに沿った申請をおこない、承認されれば所属部署に関係なく適用
  • 突発の在宅勤務(子どもや自身の体調不良など)は「ウルトラワーク」とし、当日連絡でも実施許可
  • 勤務地は自宅だけでなくカフェや帰省中の実家でも許可、制限はなし
  • 業務パソコンやスマホに社内ネットワークへアクセス可能な証明書のインストール、リモートデスクトップなどを実施

テレワーク導入の効果

  • 決算発表の直前で東日本大震災が発生し、全社員に在宅勤務命令が出たが、関係者全員がテレワークにより業務を遂行し、期限通りに提出ができた
  • 子どもの大ケガでの看病や、家族のサポートで海外移住・Uターンした社員なども休職や退職にならずそのまま勤務を継続できている
  • 多様な働き方ができるということで、採用の応募は年々増加している

シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社

モバイルワークのためのITソフトウェア開発・販売をおこなうシトリックス・システムズ・ジャパン株式会社の事例は以下のとおりです。

テレワークの概要と特徴

  • 全社員が対象、理由は不問
  • 会社貸与PC、個人PCやスマホなど仕様端末を問わず作業許可。これらの機器にモバイルワークソフトウェアアプリケーションを搭載しクラウドサービスを活用して実施。
  • テレワークは週何日でも、もしくは1日単位、数時間でも可能。
  • Go-To-Meetingによりオンラインで会議可能

テレワーク導入の効果

  • プライベートの時間と仕事の時間を自分でコントロールできるため、ワークライフバランスが取れると社員の満足度が高まった
  • 男女問わず家で仕事をすることで家族との時間を取れ、家族仲が良好な状態に
  • 災害時でも通常通りの業務がおこなえるほか、社員やその家族も安全面で安心できる
  • 会議のため会社に残る必要がなく、Web会議で済むので残業時間の減少にも効果があると思われる

ネットワンシステムズ株式会社

情報インフラ構築とそれに関するサービス提供、ICTノウハウの提供をおこなう、ネットワンシステムズ株式会社の事例は以下です。

テレワークの概要と特徴

  • 全社員を対象とし、理由や回数の制限なし
  • もっとも生産性が上がる場所での勤務を推奨し、成果で評価をおこなう
  • テレワーク時は所定労働時間を勤務したとみなし、シフトや断続勤務などフレキシブルな勤務がおこなえる
  • テレワーク時は原則残業を禁止、長時間労働にならないように指示。生産性を高めるためのICTツールを活用し、残業時間を軽減する取り組みをおこなう
  • 働き方改革で残業や振替休日の取得など、具体的な目標を設定

テレワーク導入の効果

  • ツールでオフィス同等の環境を実現し、このシステムをそのまま顧客にも提案することで業績向上
  • 一人あたりの残業時間が約60%減少
  • 在宅勤務の活用者比率が42%から59%に上昇
  • ワークライフバランス実現度が47%から55%に上昇
  • 情報漏えいなどリスク低減効果が年間約8.5億円相当、生産性向上の効果が年間約9億円相当となり、経営面で大きな効果をもたらした
  • 育児や介護などの事情がある社員も就業が継続できている

テレワークを導入するにあたっての課題

前述のようにテレワークは、生産性向上や従業員の満足度向上などの効果がある一方で、導入にあたり課題もあるのが現状です。どのようなことが課題といえるのかを解説します。

総務省が実施した調査の結果によれば、テレワーク希望者が感じるテレワーク実施の課題は以下のような回答となりました。

もっとも多い回答が「会社のルールが整備されていない」、次いで「テレワークの環境が社会的に整備されていない」「上司が理解しない」でした。

テレワークには社内の整備やツールの導入、ルールの設定などさまざまな整備が必要になります。従業員がテレワークを希望しても、すぐに実施可能というわけにはいかないケースが多いです。

また、企業のトップや上司がテレワークについてよく知らない、理解しようとしない環境であると導入はむずかしいかもしれません。

このような場合、テレワーク希望者が一丸となって行動し、経営トップを交えて議論をおこなえるようにすることも非常に重要であるといえます。

テレワーク導入のメリット・デメリット まとめ

テレワーク導入のメリット、デメリットは以下のようなものがあると解説しました。

テレワーク導入のメリット

  • 離職率の低下
  • 災害時のリスク分散
  • 事業運営コストの削減
  • 生産性の向上
  • 企業ブランド・企業イメージの向上
  • 従業員の通勤時間の削減
  • 従業員の仕事と子育て・介護との両立
  • 従業員の住む場所の選択肢が増える
  • 従業員が業務に集中しやすい

テレワーク導入のデメリット

  • セキュリティリスクが高まる
  • 労務管理が難しくなる
  • 人事制度の整備が必要
  • コミュニケーション不足になりやすい
  • 自己管理の重要性が増す

テレワークを導入する企業は増加しており、また政府もテレワークに関する情報提供や導入の支援、奨励などおこなっています。

以上のメリット・デメリットをふまえ、全社単位で話し合うことで、どうすれば企業・従業員がともによい状態で業務を進められるのか、ツール導入やルール設定などに関して考えていくことが重要です。